コリー・シェルティには要注意なお薬

 

 ご存知とは思いますが、コリー・シェルティを含む一部の犬種(なぜか牧羊犬に多い)には使用すると命にかかわる重大な副作用をもたらすお薬があります。

これは遺伝子のひとつであるMDR1が異常あるいは欠損しているためで、正常な犬には使えるお薬がコリー・シェルティには使用できず、つらい思いをされている方も多いかと思います。

愛犬の治療・病気予防のためのお薬が逆に苦しめる結果にならないよう、以下に上げるお薬には充分な注意が必要です。

 

MDR1遺伝子って何?

マルチ・ドラッグ・レジステンス・トランスポーター(MDR−1Transporter)

脳に危険な薬物・毒物が入り込まないように血管壁にあってコントロールしている遺伝子。

このバリアーシステムが働かない、あるいは欠如していると中毒を起こしやすくなり非常に危険です。

この遺伝子、MDR1が働かない犬を代表的な薬剤の名前で「イベルメクチン感受性犬」と呼んだりします。感受性犬にコリーは最も多く、約80%、オーストラリアン・シェパードで30%、シェルティは約20%だそうです。これは遺伝子検査機関で調べることができるので、万が一の時のために調べておくと役に立つことがあると思います。(余談で私事ですが、ウチのメス、2頭調べた結果、なんと1頭はMDR1正常でした。)

では、以下に使用するにあたって非常に注意が必要な薬剤をあげておきます。
成分の名前と商品名を記載しておきます。ここに記載していないお薬も成分をよく確認して服用させてあげるとよいでしょう。

記載の薬品は遺伝子検査をしていない場合のコリーはまず使用を控えたほうがよいでしょう。
シェルティの場合、獣医さんとよく相談されてから決定したほうがよいと思います。

また、獣医さんのなかにはコリー・シェルティに使えない薬の知識に乏しい方も少ないとは思いますがみえるようです。失礼のないよう、一度かかりつけの獣医さんに確認しておくのと安心かもしれません。

●駆虫薬 代表的な商品名(※注意事項)
イベルメクチン
ドラメクチン
モキシデクチン ※飲み薬は大丈夫、注射は注意が必要
セラメクチン
ミルベマイシンオキシム
●循環器系薬
ジゴキシン ジゴシン ジゴキシンKY ジゴキシン
ジギトシン
硫酸キニジン キニジン
硫酸ジルチアゼム ユーレン フロッティ セレスナット ヘルベッサーなど
塩酸ベラパミル ワソラン ホルミトール マゴテロン バラパミル塩酸塩
●抗がん剤
塩酸ドキソルビシン アドリアジン
ビンクリスチン硫酸塩 オンコビン
ビンブラスチン エクザール
ミトキサントロン Jバントロン
エトポシド ラスチットS ベプシド ペプシド
●消化器系薬
ロペラミド塩酸塩 ロペシン
ドンペリドン ドンペリドン
シメチジン アストロフェン アスメジン アルカメット エスメラルダなど
ラニチジン ラニモジン
●免疫抑制剤
サイクロスポリン サンディミュン ネオ−ラル
デキサメサゾン デカドロン レナデックス デカドロンエリチシル
●鎮痛剤
酒石酸ブトルファノ−ル スタドール
モルヒネ
●鎮静剤・抗麻痺薬
アセプロマジン サイアミラ−ル
フェニトイン アレビアキン ヒダントーン
●抗生物質
エリスロマイシン エコリシン エリコリ エリスロシン
●その他
グレパフロキサシン これは商品名です※ニューキノロン系抗菌薬
スパルフロキサシン これは商品名です※ニューキノロン系抗菌薬
オンダンセトロン リブラン ※制吐剤
エバスティン エバスチン ※抗ヒスタミン剤

これ以外にもまだあるようですが、お薬には充分注意してあげてください。
抗癌剤と免疫抑制剤は危険が高いのでより一層の注意が必要です。
また、初めてのお薬を与える場合、遅くても2〜3時間で効果が出始めるはずですので、その時点で獣医さんが診察中の時間になるよう、見計らって服用させると安心です。朝ご飯時がよいでしょう。

 

参考にさせていただいたHP

Dear Moses →Drモーゼの健康と病気について →コリーと薬

 

犬と暮らす家・京子アルシャー MDR−1遺伝子というやつ(1)

 

犬の遺伝子調査機関

潟oイオス医科学研究所